最近、ヤフー!で「羽生善治という生き方」という番組を見ました。「常識を疑い固定概念を覆す」「新しい価値を創造する」というイントロの文章に、おー これは天王星のエネルギーだなー と思いながら見入ってしまいました。
太陽から遠く離れて、公転周期の長い天王星、海王星、冥王星は占星術では ’トランスパーソナル・プラネット’ と呼ばれ、これらの惑星のエネルギーは、それぞれの時代における社会や集合意識に大きく反映すると読みます。(個人の性格や思考・嗜好をより濃く表す太陽、月、水星、金星、火星はパーソナル・プラネット、木星と土星はインターパーソナル・プラネットと呼ばれます)
天王星のエネルギーを象徴する言葉はといいますと、「革新、革命、変革、反逆、独創、発明、電光、閃光、激動、混乱、想定外、規格外、晴天の霹靂」っと、要はカオスですね。
個人のナタルチャートで、天王星がパーソナルプラネットおよび4つのアングル(アセンダント、IC、ディセンダント、MC)に何らかの角度をとっている場合ー 特にコンジャンクション(0度)、スクエア(90度)、オポジション(180度)ー 性格や方向性に上に述べた特徴が顕著に出ます。 天王星は水瓶座の支配星であり、チャートに水瓶座(特にパーソナルプラネット)を多く持つ人も同様です。
以前、サターンリターンについての記事を書きましたが、「サターンリターン〜人生の錬金術を学ぶ時。」
天王星も同様に、人生の大きな変化を促すトリガーポイントがあります。天王星は太陽の周りを84年かけて一周します。
出生時(ネイタル)の天王星の位置に、進行中の天王星が最初の90度の角度をとるのが20〜22才の頃、そして180度の角度をとるのが40〜42才の頃です。
20〜22才は、ちょうど進行中の土星がナタルの土星に90度の角度をとる時でもあります。「もう子供ではない、社会に出て大人として何をやっていきたいのか?」という、”現実的になれ” という土星のプレッシャーがある一方、強烈な個としての自我、「おきまりの社会の枠に組み込まれたくない!」という天王星の煽りも受けるわけです。 実に葛藤の大きい時期であり、例えば幼少期の頃から重い土星のエネルギーに抑圧されてきた人は、この天王星が90度の角度をとる時に、突然タガが外れた行動をしてしまったりします。(例えば、医者になる道を親から押し付けられて、本心はイヤなのにずっと従順に真面目に生きてきた子が、突然「今までの自分におさらばだ! 敷かれたレールで生きるなんてまっぴらだ! 世界一周旅行に行って遊牧民になりたい!」 みたいな)
|スピリチャルな覚醒とキャパを広げるチャンスーミッドライフクライシス
そして。 特筆すべきは40〜42才時に起こる、ナタルの天王星に進行中の天王星がオポジション(180度)の角度をとる、俗に言う ‘ミッドライフ・クライシス’ です。
ウィキで見てみますと、
中年の危機とは、中年期特有の心理的危機、また中高年が陥るうつ病や不安障害のことをいう。
中年期を迎えた個人が経験するアイデンティティや自己肯定感の変化、すなわち中年期の心理的危機。
中年が思い煩う時期という意味から、青年の思春期になぞらえて、第二の思春期、または思秋期(ししゅう
き)などとも呼ばれることがある。
とあります。
社会に出て、「責任」と「常識」を身につけ、自分で選んだ道を生きてきた。満足しているはずだった。でもこれで良かったのか。自分は何のために生きているのだろうか。自分のやりたかったことは、本当にこれだったのだろうか? 今までやってきたことは間違いだったのか。自分はこれ以上何ができるのだろうか、、、
という、内から湧き上がる疑問に向き合うことになります。今さら何言ってんだ? とうち消そうとしても、無駄です。 なぜならば、自分の内に天王星のエネルギー、自己の革新と覚醒を促す巨大な揺さぶりが起きているからです。
天王星がトリガーポイントにあるとき、人体内に存在するとされる根源的な生命エネルギー、クンダリーニの上昇を促します。生命と心がさらなる進化と成長を欲望するのにたいして、中年期の肉体の衰えは焦りを生み出し、急激な変化を求めて突飛な行動(仕事やめて世界一周旅行いくわ。とか)に出たりします。
あるいは、半ば強制的に外的な変化を経験することもあるでしょう。例えば、嫌でたまらない仕事を安定のために我慢して続けてきたが、突然体を壊して辞めざるを得なくなった、あるいは解雇された、妻(夫)から突然離婚を突きつけられた、など。 勿論、その逆も然りです。全く未知の仕事に携わることになった、電撃結婚した、といったようなことです。
実は40〜42才の天王星トリガーポイントは、同時に海王星の最初の90度も経験するので、もやのかかったような漠然とした不安(海王星)も大きいのです。 (海王星については、おって書きたいと思います)
それで、とても大切なのですけれども、このミッドライフ・クライシスの時に、生命の進化の欲求にフタをしてはいけません。「仕事に変化が欲しいけど、今からじゃ無理だろうなあ」とか、「スワヒリ語勉強して、アフリカ行ってみたいけど、才能ないしもう若くないし」とか、「本当はこういう生き方がしたかった」とか、まあいろいろあります。
湧き上がる天王星の変化と覚醒の要求(クンダリーニの上昇)にあらがうと、生命の対極、ゆっくりとした「精神の衰え・死(無気力、諦め)」が始まります。 このミッドライフクライシスの時に自分の内外に起こる変化を受け入れ、殻を破ってリニューアルしておくことが、次に来る60〜62才時の天王星のスクエア(同時に二度目のサターンリターンも!)をうまく迎えることに繋がっていきます。
|自分らしく生きるー 個性を認め、受け入れる
緩和医療ケアの看護師が記録した、”The Top Five Regrets of The Dying” (死の直前に語られた後悔の言葉トップ5)という本の中で、後悔の言葉トップナンバー1は、
「他の誰かが私にたいして望んだ人生ではなく、もっと自分に真実に生きる勇気を持てたらよかった」
だそうです。 自分らしく生きる。 時にそれは、自分にたいする周囲の期待を裏切って落胆させることかもしれない。波風立てなければ安泰の、安定を捨て去ることかもしれない。あるいは一歩踏み出すことを躊躇する、自分の内にある恐れと格闘することかもしれない。けれども天王星は、自分らしく生きることから目を背けて現状を維持している時に閃光を投げかけます。
Break The Status Quo. 「現状を打破せよ。」と。
天王星のように公転のスパンが長い惑星のエネルギーが働いている時、答えが早急に見えることは稀です。変化にもフェーズがあるというか、数年経ってから起こったことの意味を理解することが多いのです。「ああ、いま天王星の揺さぶりが来てるなあ」と思って、変化と挑戦を恐れないことです。
もう1つ、天王星エネルギーが活発になっている時には、睡眠障害、発疹、食欲の変化、など身体的にも兆候が現れることがあります。 そのエネルギーに敏感な人は、体の底からシュッ!と突き抜ける電流のような上昇を感じることもあるかもしれません。 まんてんはナタルチャートのICに天王星が完全にコンジャンクション(0度)しているのですが、体がゾクゾクすることがよくあります。一度は友人と話している時に強烈なエネルギーの上昇があり、イスから浮いて転げ落ちそうになることもありました。飛んだ拍子に腿をテーブルの裏にバンっとぶつけて痛いし、友人からは驚きと心配と疑惑の混ざった目で見られたのですが。。。いや、天王星が、とか言っても余計おかしなことになるでしょうし、えへへっ 時々こうなるんだ! と誤魔化しましたが。ツライです 笑
|常識を疑い、固定概念を覆す “クレイジー” さ
発明家や科学者、革命家、人権運動・啓蒙思想家、人類で初めて未踏の地に行った人、”変わり者” と呼ばれる人たちは、この天王星のエネルギーを強く持って生まれた人に多いですね。
スティーブ・ジョブスは水星が水瓶座、天王星が火星にスクエア、金星にオポジションの相をもっていますが、アップルの “Think Different” のメッセージはまさに天王星のエネルギーそのものです。
クレイジーな人たちへ。
はみ出し者。 反逆者。 トラブルメーカー。 四角い穴にうまく納まらない丸い杭。
違ったものの見方をする人たち。 彼らは規則を好まない。そして現状維持をものともしない。
彼らの言葉を引用したり、彼らに賛同したり、彼らを拒絶したり、
称賛したり、中傷したりできるだろう。
唯一できないことは、彼らを無視することだ。
なぜなら彼らが物事を変えるからだ。
彼らは人類を前進させる。
彼らを狂った奴らと見ている人もいるだろう、だが僕たちは天才として見る。
自分が世界を変えることができると本気で信じているクレイジーな人たちが、
世界を本当に変えるのだ。
たった3本の映画しか残さず、24才の若さでこの世を去った、いまだカルト的な人気があるジェームス・ディーンは太陽が水瓶座、アセンダントと天王星が牡羊座でぴったりコンジャンクションで、強烈な天王星のエネルギーを持っています。 チャートを見ると冷静な知性、ビジネスマンとして優れていたであろう野心と努力家な面が見て取れますが、『理由なき反抗』が彼の代名詞になったのは面白いなと思います。
女性でも、
ローザ・パークス: 太陽、水星、天王星が水瓶座でコンジャンクション(1950年代の半ば、黒人にたいする人種差別の激しかったアラバマ州で公営バスの運転手の命令に背いて白人に席を譲るのを頑として拒み、人種分離法違反の容疑で逮捕された)
マララ・ユスフザイ: 水瓶座にある天王星が獅子座にある水星に完全なオポジション(11才の時にブログでタリバンによる女子校の破壊活動を批判し、女性への教育の必要性や平和を訴える活動を続けた結果、15才の時にイスラム過激派からの銃撃を受けた。それに屈せず、教育の平等と平和を訴え続けている)
ココ・シャネル: 天王星がアセンダントと火星にスクエア(男性のスーツから案を得て女性のためのスポーティでシンプルなスーツを生み出し、当時の常識であったコルセットを多用した窮屈な服から女性を解放した。スパイとしての一面もあった)
と、ほんの一例ですが、身を顧みず固定概念に挑み、常識を覆した “クレイジーさ” がありますね。
冒頭の羽生善治氏も、太陽と天王星が天秤座でコンジャンクションの相を持っています。羽生さんは『直感力』という著書の中で、「直感とは論理的思考が瞬時に行われるようなもの」と言っていますが、電気・閃光のようなスピードで流れるロジックと、パートナー(対戦相手)との間にある力の駆け引きを素晴らしいバランス感(天秤座)で読む大局観は、まさに彼の持つ太陽・天王星のエネルギーです。
彼はまた、映像の中で「人間が持っている能力を使い切るには、人生は短い」と言っているのですが、これはとても興味深い言葉だと思いました。 ”エイジ・オブ・アクエリアス(水瓶座の時代)” が語られ始めて随分の年月が経ちますが、彼のこの一言はこれからの時代にとってとても意味があるもの、と思ったからです。 それについては、また書き起こしてみようかと思っています。
天王星は今、牡牛座を進行中であり、牡牛座、獅子座、蠍座、水瓶座のパーソナルプラネットを持つ人、もしくはチャートのアングルにその星座を持つ人で、大きな変化のカオスの只中にいる人が多くいるかもしれません。時代的には、土地、自然、食、通貨や不動産などで、私たちの常識が大きく変化していくだろうと思います。
”Rebel Without A Cause(理由なき反抗)” ©James Dean
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