プロフェッショナル・ドリーマーという職業(があったらいいな、という夢想。)

唐突、かつどうでもいいことなのですが、車が放つ騒音がキライです。 車がキライなのではありません、どこを歩いてもあの重い物体が道路の上をギュンギュン音を立てて走るのに、とても違和感を感じます。重い車体の、重いタイヤという物質がべったり道路につきながら重く移動する様が、どうにも馴染まないのです。

ということで、まんてんは車を持っていませんし、いままで所有したこともありません。免許を(はるか昔)取りはしたものの、更新はせず、もっぱら移動は公共交通機関です。南カリフォルニアに越してきてからというもの、これを言うと皆「まじか。」という反応で、なにか、とてつもなくまずいことを言ってしまったような後ろめたさを、ほんの少しだけ感じたりします。

いや、もちろん車に乗るからといってパニックは起こしませんし、遠出のドライブなんていったらそりゃあ嬉しいし楽しいです。運転していたら、「やー楽しい!速いじゃないか!」という感動がなかったわけでもありません。

でも車がもっと軽い物体で、丸い球体のような形で静かに移動する個体だったら、どんなにいいでしょうか。

▎運転者のエネルギーで飛ぶ自動車

ビビッドで明瞭な色の、やけにリアルな夢をよく見るのですが、その中で自分が実際に体験したりして、起きた時に「ふぁー楽しかった!」と思うものがいろいろあります。

夕暮れの空を見上げると、一拠点から別の場所まで空間に斜めにまたがる巨大な透明の歩道橋の上を、たくさんの人が都会のビルの窓から漏れる光に照らされながら縦横無尽に歩いている夢(透明な歩道橋なので人々が空に浮遊して歩いているように見える)、とか           

洞窟の冷たく澄んだ水の中を首まで浸かりながら歩いて行って目前の滝の壁を通り抜け、振り返って滝水の合間から見事な瑠璃色であたりに光を放っている岸壁を見ている夢、とか                   

どの夢も非常にリアルで、色や音や匂い、質感まで感じますから、特に楽しく、面白く、美しい情景の夢などは声に出して笑いながら目覚めることもあります。お金がなくてもいろいろ旅行できて、なんてラッキーなんだろうと、そう思います。

そしてその日、夢で見た飛行機ではない飛ぶ車、はこんな感じです。

その物体は、静かに浮遊します。その燃料はガソリンとか電気ではなくて、運転者から発せられるエネルギーです。行きたい場所の情報をパネルに入力して、Go! 補助としてハンドルはついているものの、運転者の脳から送られる信号と体動エネルギーで動いているので、運転者は始終ハンドルを握っていることはありません。

で、ここがミソなのですが、運転する条件はリラックスすること。感情が高ぶったり、なにか運転者に異常が出た場合、その車は速攻止まります。例えば、良からぬことを考えたり、無茶をしようとしたり、酔った状態だったりすると車はその発生されるエネルギーを感知してスッと止まってしまうのです。

目的地に着きたければ、気分良くリラックスするのが必須。アッ、危ない!といったような ‘乱れた’ エネルギーが発生すると速攻止まるので、ぶつかるということもありません。スピードは地上を走る車よりもずっと速く、そして軽く、振動も音も少なく、耐久性に優れ、燃料のコストもかからない。ある程度の高さまで飛びますが、飛行機やヘリコプターほどではありません。前の広いウィンドウパネルから、わずか眼下に広がる景色を楽しみながら、リラックスするよう設計・デザインされた椅子にすっぽりと収まって運転する。。。。

。。。と、夢でこういう乗り物に乗ってそのリアルな感覚が体に残っていると、地面をジャジャジャジャッと音を立てながら走る現実の重い物体がどうにもダサくていけません。しかも、そんな文字通り夢のような車があったとしても、実際止まったままの物体がごろごろ浮遊するかもね、人間をどうにかするのが先じゃね? とか、もう荷物もまとめて瞬間移動できれば済む話じゃね? という気もしますけれど。

▎あなたに代わって夢を見ます。

ひと昔前には、想像もできなかった仕事がいまやたくさんあります。この調子でいくと、数年後にはどんな仕事が生まれていて、どのような資格が必要とされる時代になるのでしょうかね。 

「AIに取られてしまう仕事のリスト」みたいなのがネットで出回っていて、あながち大袈裟な話ではないかも、と思ったりします。だって、膨大なデータ入力や請求書の作成を、人間が手作業で夜遅くまで残業してやるよりもコンピュータにやらせた方が効率的だよなー(とそんな仕事をしながら 笑)としみじみ感じますし、実際 セルフレジなんて、数台置いてしまえば人件費よりもずっと安くできるのかもしれないのです。

ほんの少し前、眠りに落ちる前の、夢かうつつか、の合間にこういうイメージを見ました。

「夢を見る人」が、顧客の依頼に応じて働いている姿です。その人のもとへ来るお客さんは、「夢を見る人」とカウンセリングを行い、自分が抱えている夢を詳細にわたって、出来るだけ明確に、どういった結果を得たいかも含め時間をかけて口頭で伝えるのです。「夢を見る人」は、何も言わずにじっと聞き入り、最後にお客がなにか伝え忘れたことはないかを確認して、お客が帰った後に仕事を始めます。

「夢を見る人」は、そのお客から請け負った夢を見るのです。数時間でも、何時間でも、数日にわたってその夢を見て見て見続け、さらに見続けます。夢の話を共有する、とかではなくて、プロとしてその夢を顧客に代わって見るのです。その顧客の夢を、あたかも現実に起こっていることのように見続けて、実際に実現化させる。それが仕事なのです。やがて自身が依頼した夢が実現していくのを確認した顧客から連絡が入ると、そこで一つの仕事が完了です。

その夢見人は、中性的な顔立ちの、年齢不詳の若さと老齢さを持ち合わせていて、ゆったりとしたドレスのような服に身を包み、長くて黒いストレートの髪の人でした。彼(彼女)が目をつむって大きな石の上にあぐらを かいてずーっと夢を見ている姿を見ながら、私は眠りに落ちていました。

それ以来、そのイメージがずっと頭にあるのですが、将来、これはAIにはできない仕事だろうねぇ と妙に楽しくなりました。名刺の肩書きが普通に「プロフェッショナル・ドリーマー」とか面白いだろうなあ。でも嫌な 夢だったら却下したいし、商売あがったりかも、ですね。

否、コンピュータは、すでに私たちに代わって、延々と夢を見ているのかもしれません。 けれども複数の夢を同時にパラレルな空間で見てその中の登場人物と繋がり、どのようにでも実現させる自由意志は、まだまだ人間ほどに持ち合わせていないだろう、と思うのです。

(一家に一台欲しい スター・トレック 瞬間移動装置機 CBS photo archive/getty image. © Star Trek)

 

シェア ♡
error: Content is protected !!